過度な「安心」は「怠慢」を生む。

保険を清算してしまったら、国民は何を頼りに生活すればよいのか、という反論もあろう。

特に、最近は失業者が増大し、自殺者まで増大している。

だから、政府がそうした社会的弱者を助けてあげなければならない、という主張が出されている。そして、社会的弱者を救済するには、政府がお金を出してセーフティーネットを設け、国民に「安心」を与えなければならない、とも主張している。

確かに、セーフティーネットは重要である。特に、企業倒産のリスクも、失業のリスクも、年金給付のリスク(少子高齢化の行方が不透明なために将来どれだけ年金給付が実際にもらえるかわからないリスク)も増大しているから、そうしたリスクに直面したなら、しかるべき救済が必要である。そのためのセーフティーネットの構築に、政府はお金を投じる必要がある。では、ここでいうセーフティーネットとは、具体的に何を指すのか。

それは、要するに「保険」である。企業倒産のリスクには企業救済のための保険を、失業のリスクには失業保険を、老後に生活費が用立てられないリスクには年金保険を、用意することである。だから、結局のところは、今までにもそれなりに政府がやってきたことである。そう考えれば、セーフティーネットには、モラル・ハザードが一緒にくっついてくることを決して忘れてはならない。

自動車保険や医療保険の加入者が、保険があることに付け込んで、危険を回避する努力を怠ることである。自動車保険の加入者からすれば、自分だけが自動車事故の危険を回避する努力を怠っても保険金がもらえるならそれでよい。

しかし、同じ保険会社の加入者が、自分と同じように怠慢な運転をして自動車事故ばかり起こして、その結果保険会社が多額の保険金の支払いに応じきれずに倒産してしまったらどうだろう。それは困るに決まっている。自らは怠慢な運転をしないように一生懸命努力していたなら、なおさらである。

それは、政府が行うセーフティーネットでも同じである。真面目に一生懸命働いて「怠慢」のたの字もない人が失業してしまったら、その失業の危険に対して失業手当という保険金を支払い、失業中の生活費を助け、首尾よく再就職先が見つかる、というのはよい。それは、美談である。その端で、失業しても再就職する努力を怠る人が同じように失業手当をもらっていたら、それを再就職する気がなければ失業手当は出さない、そのまま路頭に迷え、と断固としていえるだろうか。「政府が運営する保険なのに、失業していても手当がもらえないなんてかわいそう」という声になびいて、手当を支給してしまう。

そうなれば、何百万人もの失業者に(受給資格のある)失業中ずっと保険金を支払わなければならなくなる。しまいには、保険金の支払いがかさんで保険が破綻しかねない。民間の保険会社なら、保険が破綻する前に保険料を引き上げることを会社側の独断で決められる。

しかし、民主主義の政府は、議会の議決なしに保険料を引き上げられない。議会で保険料値上げの反対があれば、保険料の引き上げすらできない。その意味では、政府が運営する公的な保険は、民間に比べてモラル・ハザードに弱いといえよう。保険に付け込んだ怠慢は、今や財政を圧迫している。保険によって国民に安心を与えるという政府の仕事は、健全な財政なくしてはありえない。

これまでの公的な保険は、勤勉実直な国民に安心を与えたが、怠慢な国民にも不必要な安心を与えてしまった。それにより、怠慢な国民は保険金を過度に受け取り、保険の財政を悪化させた。公的な保険によって与えられる過度な安心は、怠慢を生むことを忘れてはならない。

     

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